統計からみる日本の緑茶と紅茶

はぐら茶屋が創業からうっかり7年目っぽいです。紅茶のんでる間にすぎてしまったのですが、茶のみ商売もそろそろ考えなければということで、調べ物やら考え事やら。長くなったし小難しくなっちゃったので、ここではないブログにあげようか迷ったのですがお茶関係ということでこちらに掲載します。

 

最近国産紅茶にすこし兆しがあるように感じます。結論から言いいますと、紅茶屋が見聞きしたり肌身に感じたという根拠だけで、それを裏付ける統計資料などはみつけることができませんでした。
その昔、国産紅茶のんでみたいとお客様から言われ、探して色々のみ比べたりしていいなーと思ったところに連絡したら「卸すほどつくってない」って断られて以来、国産紅茶はあまりみてない感じです。いまどんな感じなのかなーと思ってお茶業界を含めて軽く調べましたので、そのままご紹介。紅茶を調べてもそれ単体ではでてこなかったので緑茶を含めた茶葉ベースで分析してみました。文末にそれぞれの調査元資料などのURLを貼っておきますので興味のあるひとは掘り下げてみてみてくださいね。

 

*茶葉の生産者情報(国内)

生産者ビジネスと市場規模・畑作 茶
農業粗収益  3,191千円
農業所得  906千円

兼業農家さんが多いのでしょうか。茶による所得は1戸当たり90万とかなり低い状態にあります。茶作における農業所得率は全国平均で28%程度。ちなみに緑茶の生産額は生茶と荒茶を合計で約1000億。

茶品種別栽培面積

@茶品種別栽培面積
国産紅茶としては「べにふうき」が主なようですが作付け面積でいうと0.23%程度しかつくられていないようです。国産紅茶については後述します。

 

*家庭におけるお茶の消費のされかた

缶やペットボトル飲料などを除く茶葉での紅茶の流通量は緑茶、コーヒーの1/5市場規模。世帯あたり約1,000円となっています。日本の総世帯数は平成22年で51,842戸なので、約500億円市場となります。マーケットとして相当小さいですね。ここにトワイニングやリプトンといった大手ディストリビューターも入ってくるので、優位な市場シェアを獲得しても売上高が小さすぎます。本当でしょうか?家庭の消費量から市場規模を計算してはいけないのかもしれません。

ペットボトルなどを除く茶葉市場

@ペットボトルなどを除く茶葉市場 *Ready To Drinkの略で、そのまま飲める缶やペットボトル入り飲料のこと。

 

*茶関係の商業者情報

商業統計情報からみてみます。

茶類卸売業 2007年 事業所数合計2,322 1,621(法人) 701(個人) 従業者19,075人 年間商品販売額763,595(百万円)

茶類小売業 2007年 事業所数合計9,769 3,577(法人) 6,192(個人) 従業者 29,196人 年間商品販売額236,430(百万円)

小売で2,364億円ありました。茶葉卸しが7,600億で、小売より多いのはどういったわけでしょうか?ペットボトル飲料など加工品に流れる量のほうが小売に回すより3倍以上大きな市場としてあるとこいうことでしょうか? 国産の生産高ベースで1000億分しかないのでお茶だけではない他の営業による収益が加算されている可能性がありますね。
一事業社あたりで計算してみると卸が売上で3億2,000万、小売で2,400万円というところのようです。事業所あたり従業員数は卸8.2名、小売2.9名となっています。

 

茶の小売と卸しの事業規模推移
@茶の小売と卸しの事業規模推移 ※1999と、2004は小売りのデータが欠落していたので除外してあります
比較参考のためにお酒を抜き出しておきます。

酒類卸売業 2007年 事業所数合計3,031 2,647(法人) 384(個人) 従業者41,502 年間商品販売額7,909,239(百万円)

酒小売業 2007年 事業所数合計47,696 14,082(法人) 33,614(個人) 従業者 137,143人 年間商品販売額2,489,602(百万円)

 

茶酒の事業規模推移

@茶酒の事業規模推移
一事業社あたりの売上規模で並び替えして比較すると、茶の小売と同じような市場規模では苗・種子小売業、花・植木小売業、荒物小売業、菓子小売業(製造小売)などがあげられます。うちは弱小零細なので平均ほども売上がないのであまり言えないのですが、売上ベースでこの額でしかも小売だとこれで経営しようとすると相当厳しいのではないかと察せられます。一人あたり売上で827万。人月80万のシステムエンジニアだとすれば妥当ですが、仕入原価があり限界利益率が低い小売では雇用形態をアルバイトなどにしないとちょっと無理なのではないかと思います。
ちなみに全産業中で日本で一番大きいのは情報通信産業で87.7兆円、自動車産業約44兆、小売産業32.9兆円だそうです。楽天市場が流通額で年間1兆円突破といっていますが…もし楽天のそれが本当だとすると日本の小売市場の3%になりますね・・・。ほんまかいな。話しがそれました。

 

*今後の小売産業など

商業統計では卵・鳥肉小売業や、果実小売業、米穀類小売業、履物小売業(靴を除く)では露骨な営業規模の縮小衰退の兆候があります。お茶屋業界にはいまのところ顕著な兆候はありませんが小売産業全体が抱える人口動態の変化にともなう市場の縮小は避けては通れないので将来的には緩やかな下落が続くものと考えられます。
これは日本の小売が抱える宿命なのでやむない話しなのですが、製造業者である茶農家さんの生産額が低いのはショックでした。生産者さんが加工して販売までやる垂直統合をおこなったとしてもこれではビジネス的な観点からすると少し難しそうです。付加価値創造をおこなわなければならないのですが、そうなってくると単純労務としてのスケールを得られません。みんながみんな沈みゆく市場で働けど働けど我が生活楽にならずな展開はよろしくありません。

 

日本の法人や個人事業主は顧客を含めた関係者(ステークホルダー)にたいして「健康で文化的な生活」をどう提供できるかという理念にもとづいて営業をおこなっていると思います。その形体の違いがそれぞれの会社のミッションとなっているとおもいますが、小売業界がさらに一歩踏み込んでどうやったら健康で文化的に貢献できるサービスや商品を届けられるかについて知恵づくりをしていかないといけないなと今更ながら強く思っています。
「ものづくり」だけでなく「知恵づくり」もやらないとだめですね。

 

*おまけ、日本における緑茶産地の紅茶作成

日本の紅茶が最近飲めるようになってきたんですよと取り引き先のかたから聞きました。

英国でチャンピオンになったのが日本の個人が裏庭でつくっている茶葉だときいたことがありますが、それこそ、売られるようなものではありません。売られているものについても最近のんでいなかったので、もし美味しいところがあったら教えてください。

 

最後に荒茶生産量を抜き出して貼り付けておきます。
紅茶は「その他」のところにはいります。三重県急激に増えていますね。なんでしょうか食べる茶葉かな?

h21
h22
h23
h24
h25

 

*他主な参考資料

国産紅茶 じわり浸透、緑茶産地で生産増 : ニュース : グルメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)”
www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/business/20130330-OYT8T00254.htm
茶をめぐる事情 農林水産省 平成24年7月

クリックしてcha1207.pdfにアクセス


ホーム > 組織・政策 > 生産 > 甘味資源作物、いも類、蚕糸、茶等の地域特産物 > お茶のページ
www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/ocha.html
ホーム > 組織・政策 > 統計情報 > 分野別分類/農家の所得や生産コスト、農業産出額など > 品目別経営統計
品目別経営統計
www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/hinmoku/index.html
www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001061833
平成21年産一番茶生産量
一番茶の府県別摘採面積、10a当たり生葉収量、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県)

クリックしてsyukaku_1tya_09.pdfにアクセス


(5) その他とは、食品加工用茶、紅茶等である。
平成21年産一番茶生産量

クリックしてsyukaku_1tya_09.pdfにアクセス


クリックしてsyukaku_1tya_12.pdfにアクセス

※2-10 経済構成別一般世帯数と世帯人員
市場規模(国内生産額)
www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc342110.html

統計 商業統計
www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/
統計 商業統計 統計表一覧 時系列データ
www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-2/jikei.html