一般名称としての紅茶
海外からの買い付けは昔は専門の買い付けチームがいなければできませんでしたが、いまでは、個人事業主レベルでも海外と容易にやりとりをすることができます。中国に中国茶をお願いすることもできれば、アフリカの会社に紅茶やコーヒーをお願いすることもできます。かつては日本ではごく限られた人しかその存在を知らず手に入れることもできなかったような世界のお茶も、各段に取り扱いやすくなったというわけです。
そんな時代の紅茶は、昔のように一様ではありません。あの人が飲んでいる紅茶と自分が飲んでいる紅茶はまったくの別物である可能性があります。かつてのように大商社が仕入れてどこで買ってもみんなが手に入れるものが同じだった時代ではなくなってきています。
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この傾向があるのは紅茶だけではありません。コーヒーだって取り扱い産地がずいぶん変わりましたし、ロースト方法もバリエーションも増えました。中国茶にも近代製法など製造工程がかわってきています。品種、産地や加工方法、そしてそのいれ方の組み合わせは幾通りもあります。そして結果として味わいもお値段も違います。
同じ特定の一般名称がつかわれていてもものは別物なのです。これは紅茶、コーヒーのようなソフトドリンク類だけではありません。果物や海産物などもそうです。かつてはその地域になる市場経由でその地域の小売店である八百屋に卸されていたので、主だった違いが値段の違いだけだったわけですが、ネットショップではそういうわけにもいきません。
みんなが同じものを購入する時代から、自分の好みにあわせて選べる時代になってきています。
そして幾らでもお店やそこでの取り扱い商品を選べるぶん、それを選ぶ側には目利きである必要がでてきてしまうのです。
目利きになるためには
実態として出回っている紅茶にも様々なものがあり一様ではないことは前の回でご案内しました。
紅茶に限らず一般論になりますが、目利きになるのは大変だという場合、のれん(ブランド)に頼るのはひとつの手です。
大抵はお金をより多くだすことにはなりますがブランドものを買っておけばそれほど大きな失敗は確率的には少なくなります。
日本人はブランドものが好きだといわれていますよね。海外にいってアパレルのブランドショップに入ると、日本人向けの原価率の低い商品がでてきて、それをつかまされて帰ってくるという残念な話を聞いたことがあります。しかしブランド名以外に何も判断知識がないのであればそれも致し方ないことなのかなと思います。
ここらへんは一般論なので3つほど要点を書き出しておきます。
- 本物(ベスト)を知っておけば偽物(失敗)がわかる
- 失敗経験に勝るものはないが、ちょっと調べればわかる失敗をする必要はありません
- 与えられた情報から探すのか、探して得た情報なのかは非常に重要です。特に押し付けられた情報というものにはロクなものがありません。
まずはどのような品物でも量販品からスタートで型を覚えるのが王道ですが、評価基準が値段だけだとか、他人の評価だけが頼りだというのでは量販品の枠からは決して出ることができません。
最終的には比較基準を自分の中にもつことが、重要なのかなと思います。
紅茶については、これから各章で纏める内容を知っておけば喫茶店やレストランなどの仕入れ業務でもお役立ちになるぐらいの助けになればいいなと考えております。もちろん個人のひとが紅茶を楽しむためにも!
※注釈)
このコラムは茶葉から選んで紅茶をたのしめるようになるために、はぐら茶屋がまとめていくシリーズです。
こちらの紅茶のはじめかた カテゴリーから過去の記事を読むことができます。
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「紅茶とは」の回をわけます。
次回は、紅茶の値段がどのように決まるのかについて書きたいと思います。
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