フェアトレードとかカフェの原価とかについて

カフェにおけるコーヒーの原価が話題になっているようです。

この絵、学校教育としてきちんと伝えるべきだと思う。

 

画像の元ネタ
www.uplink.co.jp/oishiicoffee/about_04.php

 

数字をきちんと読めない人がフェアトレードとか言い出すと大変なことになるかもしれない(メモ)
kirik.tea-nifty.com/diary/2012/05/post-8bfe.html

気になったところ3つ。

 

1.小学生に商売について教えるのは大事

できるだけ早い段階で、どうやったらお金を稼げるかの仕組みを学ぶのは重要。教育はおおよそ収益構造がないコストセンターなので、プロフィット・センター(収益と費用を勘案する)視点がどうしても抜ける。プロフィットを無視する人の割合が社会として多すぎると、創造した価値、もしくは付加した価値より、使った資源のほうが多い縮小再生産しかしない社会になりかねない。そんな社会に持続性はない。

地元(三鷹)では小学生が商店街で体験学習みたいなのがあるが、就労体験に重きがおかれている。これをお祭りの模擬店でもなんでもいいのだけど、事業経営戦略とかを(子供向け)模擬店レベルにアレンジしたらすごい楽しそうだな。ワクワクする。(どう?)うちの模擬店のケイパビリティはとか子供がいっちゃうの・・・。なんのこっちゃみたいな。

2.外食の原価について

収益構造に携わることない部門だったり、ただの消費者としてしか経済活動に参加しないと、「ほげほげの原価はちょめちょめ円しかない」みたいなことで気を吐くことがあるようだ。
先の、コーヒーの原価は1割というようなところで、「9割もふっかけられているのか!」で、怒るみたいな。飲食店が9割を儲けられるんだったらこんなに飲食店潰れないよ?
自分はただの万年赤字の紅茶屋なのでコーヒーわかんないし、数字もろくに読めないのだけど、先の図にいくつか加筆できるのでしてみた。(%縮尺があってないのは私の作図能力の問題です。)
加筆するために調べた。途中から調べるほうが楽しくなってしまったのはないしょです。

 

 

 計算の概略と仮定:

個人経営のカフェで15坪ぐらい。

坪あたり座席数1.2倍ぐらいなので、15坪計算だと18席

毎日、ほぼ満席の満席率80%で2回転ぐらいしちゃうとする。
ほぼみんな軽食とかケーキを食べてくれるとして+350円みておくと、客単価が670円。そうすると売上高が36,180円で25日稼働で90万ぐらいか。あれ、微妙な数字になった…。生々しい感じ。
人件費は売上の3割だとすると、27万か。27万のうちわけが店長一人稼働+ピークタイムアルバイトで、専任の店長の生活がかなり怪しい感じですね。
昔し調べた記憶だと1坪月商10万ぐらいが損益分岐だったきがするので、モデルケース算出のために150万で考えると生活はできるレベルです。

 

この売上150万のケースで純粋にコーヒーの値段で逆算すると、150万円をコーヒーだけの売上で成り立たせるためには30日稼働でも日に5万、一日156人が利用。(テイクアウトメインのチェーン店系の運営スタイルに近いかも)156人のお客さんを裁くためにドトールさん的に07:00-21:00まで運営し、(それでも一人あたり接客対応可能時間が5分かぁ)、常時1人の時給900円のスーパーアルバイトだけで店が回ってるとすると14h/d*30d=420h 420h*900=378,000 スタッフの人件費だけで、最低40万近くかかることになります。ピークタイム2人体制とか50万はみておかないとスタッフ倒れますね。売上3割は人件費は妥当でしょ?
これに15坪の都内の路面店だと賃料30万、最低でも20万なので仮に20万としておきます。
水道光熱費や通信費も固定費として5万ぐらいでいいかな?什器などの設備の減価償却費を5年で償却するものと考えますと、飲食店をはじめるのに最低でも500万ぐらいはかかるので月あたり、8万円を固定費。
他にコーヒー一杯を売るのに最低限必要な備品。紙ナプキン0.5円、スティックシュガー5円、コーヒーミルクポーション4円

こんな感じですか。ざっくりした計算用のGoogleスプレッドシートを公開しておきます。
docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AjsCrr8T7mPedEZwYlNyU0dJd2gzQ3l4b3NEWTU0Y3c
売上100万想定の結果がかなしいことになってるので少し計算に色を加えました…。こっちを減らしてこっちを増やして・・・。
ちなみにコーヒー原価1割とかなってるけど、紅茶は茶葉でいれたら2割なんかじゃ収まらないし、生のオレンジジュースとかはもっと高いはず。個人経営とかでやってるところはいくらなんでも原価2割ぐらいはみないとダメなんじゃないかな? どうですか?

 

参考:

座席係数いまどれくらいなのかなとぐぐったら、なんかこんなんでてきた。便利な時代やね。
www.inshokuten.com/study/manual/fund/3

 

不動産類、都内だと15坪ぐらいだと2~30万ぐらいかな?
www.bukkens.com/kashilst/pg=1/to=13/s=4/od=61/bukkens.htm
www.inuki-tenpo.net/open.html

 

コーヒー豆(煎っていないもの)は関税ないんだね!! 紅茶屋的にびっくりした。
www.tskshop.com/tskint/taxinfo.htm

 

「おしゃれなカフェのお店をはじめる本」の書籍検索で坪10万、人件費売上比30%というのが出てた。
books.google.co.jp/books?id=tf4HdJJZrV8C&lpg=PA16&ots=i4f_IPhOOT&dq=%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%20%E5%A3%B2%E4%B8%8A%20%E6%9C%88%E5%95%86%E5%B9%B3%E5%9D%87&hl=ja&pg=PA15#v=onepage&q=%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%20%E5%A3%B2%E4%B8%8A%20%E6%9C%88%E5%95%86%E5%B9%B3%E5%9D%87&f=false
今、ほんの中の検索結果まででてくるんだね! びっくりした!

 

都市規模と事業所の開業率・廃業率

クリックして11-04.pdfにアクセス


勉強になりました。

 

生活衛生関係営業経営実態について

www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/
飲食店営業(喫茶店)報告書 (PDF:4084KB)

クリックして09-01.pdfにアクセス


喫茶店営業の実態と経営改善の方策 厚生労働省

クリックして09-02.pdfにアクセス


↑この報告書をみると一人あたり売上平成14年で100万なので妥当な推論だったようですね。
50平米未満が一番多いとか、想定もいい線をいっていたようです。結構ここに数字がどひゃっと出てました。客単価とか一日あたり客数とか。
結構細かく調べられてる報告書なので喫茶店関係の方はぜひよんでみてください。うえの推量でだした値、実際の調査にそってもそんなに悪くないみたいですね。いい線かな。
自分の推測想定による計算だと都内で計算しちゃったから地代が高すぎましたね。あとやっぱり原価率としては平均すると3割でよかったっぽいです。
経常収支やっぱここらへんが限界なんだとか規模ごとにあまり相関ないんだとか、すごい気がつくところが多かったです。
とてもとてもためになる資料でした。
いやー、しかし、この調査報告だと日に客単価1000円で100人入っている店がアベレージなの???
ハードル高いわりに経常収支率可哀そう・・・。

 

3.フェアトレード品について

当店でもフェアトレード品は2月ごろにエクアドルのチョコレートを扱っています。茶葉とかも売り込みはくるんだけど、扱っていません。同じ道の並びにフェアトレード品のお店があります。やられている方は世界各地をよく知られているご年配の方です。
「フェアトレード品は辞めると生産者の生活に直結するからやめられない」という話しをききました。
途上国ではコーヒーや紅茶、カカオなどの先進国でも人気があり、かつ輸出で痛まないような農作物をつくり、経済発展を目指しています。
しかしながらいずれも農作物です。しかも日本のように灌漑や土づくり、肥料も農薬も、ビニールハウスも十分ではりません。
日本のような物流が発達して計画生産をしても、レタスをトラクターで潰すニュースがあるように、販売で得られる利益が出荷にまつわるコストを上回ってしまうことがあります。
農作物をつくる費用を種代だけ計算してしまうと、安くても売ればいいじゃないとなるかもしれませんが、1の項目で書いたように収益と費用を考えなければいけませんし、2の項目で書いたように販売管理費も考えなければいけません。

 

農作物などの生鮮食料品は供給量と消費者の需要とで値段が決まる現代でも値段変動が顕著なものです。
そこに途上国ならではの通貨安定などの経済要因があると、生産計画を立てるのが非常に困難になります。
またコーヒーノキや茶ノキなどは、作付けから収穫まで数年以上かかります。現地の農家がリスクを背負い、先行投資して作付けしても、他で豊作であったり、為替などで他の国の農作物より高くなってしたりしては、販売価格が製造原価を割り込んでしまうことにもなりかねません。困ったことにそうなる確率が非常に高いのが途上国の環境です。

 

そこで、フェアトレードは「作ってくれればこの値段で買うよ」という、ある種の紳士協定のようなものです。それをあてに、途上国の人は労働環境をつくり生活に計画性をもつことができるようになるのだそうです。
だから、取り扱いだしたら簡単に辞めることができないということらしいです。

フェアトレード品の価格が高いという問題は、違う要因をはらんでいる気がします。

  • 扱っている企業が小さいため、流通コストが嵩んでいる。
  • フェアトレードを宣伝文句にしたいだけの企業も入り込んでいる。

こんなところではないでしょうか。

 

生産者と流通(卸、小売)とのトレードがフェアであったかどうかなど、本来は消費者に言うべき内容ではありません。
しかし、数人しかいないNPOみたいな企業が現地に飛んでは交渉をして手に入れてくる商品では、数量も現地の生産能力分しかなく販売管理費が高くなります。結果、販売価格が高くなるのは当然の帰結です。
だから、購入者に高い理由はなんですか?と聞かれたときに「これはフェアトレード品」なんですと説明できる単語は必要だと思います。「オーガニック」も似た感じですね。製造原価、販売管理費が高いことを意味しています。

そもそもが、中小規模の業者が生産者と取引しよとしてアンフェアなトレードを強いることができるほどの力関係はないのでアンフェアトレードになりようがないです。しかし、一部大企業で生産者に対してアンフェアなトレードをする人たちが居る。それを咎めてフェアトレードという言葉ができたのも事実だと思いますし、世間に知られるべきことだとも思います。しかし、今度は仲介業者が消費者にたいしてアンフェアなトレードをしかけてちゃダメですよね。

 

一杯のコーヒーの販売価格は同じかもしれませんが、その内訳は原価も違えば販売管理費も違いますよというお話しでした。価格の決定は実に難しいです。

ある種の商品で粗利を高くとっても、他の商品でバランスをとったり、なんらかの方法で還元したり。そこらへんはお店とお客さんの関係性の話しなので、ひとつの商品とりあげて率で考えるべき内容ではないと思います。

お店っていうのはそうやって続いていくのだと思います。

 

 

 

さて、最後にネタ。

コーヒーの原価に文句があるひとは、コーヒー豆栽培セットというのをなぜか紅茶屋が扱っているので、育ててみてはどうでしょうか。

 

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「このコーヒーを入れるのにかかった時間は5年と3分だ!」と言ったとき、なにが解るかもしれません。

 

 

ちなみに私は1年ぐらいで枯らしました。